新型コロナウイルス感染症による健康被害が続き、不安な日々が続いています。歯科治療は、不要不急だと判断されがちですが、実はあらゆる細菌やウイルス感染を防ぐうえで「口腔内の清潔」は非常に重要なのです。
実際に近年、口腔ケアをきちんと行うことが肺炎の改善や予防に有効であること、インフルエンザの発症率を抑えるということが明らかになってきました。
海外では当たり前?
ある雑誌で、タレントのデビ夫人がこんなことを言っていました。
『海外では、歯はその人のパーソナリティそのものとされています。著名な方ほどきちんと治療を済ませていて、歯が美しくない状態で人前に出るなんてことはまずありえません。』
「人は見た目が9割」という言葉がありますが、グローバルビジネスにおいて、歯の手入れは仕事の結果に直結すると言われています。欧米では、お金持ちやビジネスエリートほど歯並びが良く、子どもが高校生になるまでにはキレイな歯並びにさせるのが常識とされています。
海外の多くの国では、日本のように、大人になってから歯並びを直すという概念はありません。日本では矯正治療にたくさんの費用と年月を要します。ですから、大人になって金銭的に少し余裕が出てきてからはじめる人が多いのです。
しかし理想の治療時期は、顎顔面と全身の発育を矯正できる幼少期です。
実は、顎や口元を整えることは、知力にも影響してきます。口呼吸する子どもは知力が低い傾向があるとされています。口呼吸によって、鼻が狭く、顔面が細くて長くなり、鼻の上のほうも伸びるため、脳の容量が少なくなるのです。頭の形が出来上がってから歯並びを直しても、骨格は直りません。
そのため海外では「矯正をしていない人は教養がない」とみなされてしまいます。日本のビジネスエリートでも、それを理解している人は必ず歯をキレイにします。事実、歯をキレイにしたことで、活動の幅を日本国内だけではなく世界へ広げ、成功へと導いた経営者も存在します。
残念ながら、見た目に気を使えない経営者は、どんなに語学堪能でも世界では格下に見られてしまいます。
優秀な経営者や起業家の多くは、みんな自信に満ちた表情で、歯や歯並びもキレイです。「見た目」に気を配り、健康で「国際標準の美」をいつも意識しています。
健康で良い「見た目」を維持するために、歯のトラブルがあってもなくても、3ヶ月に1度は歯科検診に行き、違和感があればすぐに相談します。トラブルになってから急いで歯科医院に駆け込むようなことはありません。病気にならないように常に気を配りケアをしているのです。
海外は医療費が高いですから、日本のように「病気になったら病院へ行く」という考え方はありません。だからこそ、病気にならないための「予防」が病院としての役割とされています。
予防のために、定期検診を3ヶ月に一回受けても、たったの年4回です。もしも虫歯が一か所できたら、治療のために10回前後通うことになります。どちらが「賢い選択」なのかは明白なのではないでしょうか。
感染症と歯科健診
歯は健康のバロメーターです。歯磨きをきちんとするだけでもさまざまな病気の予防ができます。
例えば、インフルエンザ。口腔ケアを十分に行っている人ほど、インフルエンザ罹患率が低いことがアメリカの研究などでわかっています。また、定期的に歯科受診をしている人は、感染症に罹りにくいこともわかっています。
実際、専門家による口腔ケアを受けた人のインフルエンザの発症率が、本人や介護者だけから口腔ケアを受けた人の10分の1になったとの報告があります。
東京歯科大学名誉教授の奥田克爾氏らの行った研究で、次のような実験結果が発表されました。
2003年9月から04年3月にかけて東京都府中市の特別養護老人ホームのデイケアに通う65歳以上の高齢者98人に対し、専門家による口腔ケアと集団口腔衛生指導を1週間に1回実施。一方、別のデイケアに通う高齢者92人には、ご自分がいつもなさっているように口腔ケアをしてもらいその結果を比較しました。
専門家による口腔ケアを実施したグループでは、ご自分で口腔ケアをしたグループに比べ口腔内の細菌数が減り、プロテアーゼとノイラミニダーゼのはたらきが低下していることがわかりました。さらに、インフルエンザを発症した人は、ご自分で口腔ケアをしていたグループでは9人であったのに対し、専門家による口腔ケアを実施したグループでは1人でした。
口の中は「バクテリアリザーバー」と呼ばれるほど、ばい菌の繁殖所になっています。仮に丸一日歯を磨かないと仮定した場合、口内のバクテリア量は約1万倍にも増えます。
歯周病の人とそうでない人では、細菌数がなんと一億倍も違うのです。その状態でインフルエンザや新型コロナなどのウイルス等を口から吸い込み、歯磨きをせずに寝てしまうとどうなるでしょう。喉から体内へウイルスが入り、抵抗力が落ちていれば肺炎で死ぬこともあります。
歯の治療がうまくいっても亡くなってしまうケースは、原因のほとんどが肺炎です。だから口腔ケアが大事なのです。
大切な歯磨き習慣!
歯磨きは、朝に1回、寝る前に1回するのが理想です。菌が最も繁殖するのは就寝中。歯の表面だけをちゃっちゃと適当に1日3回磨くなら、朝夕2回の歯磨きをし、デンタルフロスや歯間ブラシを追加するほうがだんぜん効果的です。
フロスや歯間ブラシは歯ブラシで磨く前に行ってください。歯と歯茎の間に汚れが溜まっていると心筋梗塞や脳梗塞など循環器系疾患になりやすいことがわかっています。
適切な歯磨き習慣を身に付け、歯科医院での定期的なケアを行い、新型コロナやインフルエンザなどの「感染症」に負けない体を作りましょう!